続・隗より始めよ

利尻島より発信中

昆布フィーバー

time 2014/07/02

島では今、天然昆布に先駆けて、養殖昆布真っ盛り。
どこに行っても『昆布』という単語を聞かない時はないほどだ。
まあ確かに島ではメインの産業。
気持ちはわからなくもないけれど、口を開けば昆布昆布というのは、どうしてもいただけない。
他の話題はないのか!

あ、あった。
その日のウニの値段だ。

これは島民同士、顔を合わせれば当たり前のように今日はいくら?と聞いてくる。
毎日聞かれるのは本当、げんなりだ。
久しぶりにプールに行ったら、こんな会話が聞こえてきた。
『ウチの息子がいつまでも嫁さんもらわないもんだから、昆布干しやらなくちゃならない』と。

哀しい発想だよね。
いったいお嫁さんという存在を、なんだと思っているのか。
そんな風に思っているからこそ、余計にお嫁さんは遠のくんだよ。
漁業で生計をたてる人たちは、こんな風にお嫁さんを労働力としてアテにしすぎていると私は思う。
仕事の段取りを調えることよりも、人を揃えることにばかり夢中になっているからだろう。

私が一番避けて通っている、この養殖昆布事業。
こいつは恐ろしいほど大変だ。
朝の4時くらいから昆布干し、そして14時くらいからは取り込みの作業をしなければならない。
どこでも人手不足(実際はそう思い込んでいるだけなのだが)なので、必然的に売り手市場。
バイト代だけでなく、おやつの良否で行く先を変えたりする人もいる。
そんな風土の中、養殖昆布をやっている漁師の奥さん連中の大変さは、想像を絶するものがある。
みんなにふるまう朝のごはん作りだけだって大変だ。

その上、漁師の悪い癖で、偉いのは採ってる人、と思っているのがミエミエ。
私から見たら、奥さん連中はいいようにこき使われているとしか思えない。
封建時代そのもののような、ゆるい男尊女卑が、この島には確かに存在している。

まあ、女も男っぽい人が多いわけだから、どちらが悪いでもなく、そういう風潮が自然と生まれるのだろう。
さらに驚くべき事に、昆布に関しては人手不足を理由に、島では公務員のバイトも黙認されている。
あり得ない治外法権ぶり。

天然昆布の旗があがれば、小学校も時間を繰り下げて登校、などという現代とは思えないルールも存在している。
まるで、昆布に関わらない人間は非国民だ!と言わんばかり。
洗脳も、ここまでくれば誰も疑問には思わないんだね。

みんなは昆布が札束に見えると言うが、私には気の重いものでしかない。
ウニのように、採ってすぐその日のうちに売れるものならば大歓迎。
でも昆布は違う、組合も生のまま買ってはくれないのだ。

干して、取り込んで、ストックしながら漁を続けると同時に、昆布作りという修行のような作業をこなさなければならない。
1枚1枚を切って、平らにのして、等級ごとに振り分け、それを束ねて箱に詰めるところまでが漁師の仕事となる。
その作業を時給に換算したら、とてもじゃないが昆布は札束などには見えてこない。
むしろ、あまりにも理不尽きわまりない報酬だと私は思う。

もちろん感じ方は人それぞれ。
こういう仕事が好きな人もいるのだろうけれど、私にとっては苦痛。
世の中に、こんなに自分に向いていない仕事があるのかと思う。
今年の天然昆布は、未だかつてない量の昆布があるらしい。
まともに夏を終えられるのか心配になってくるけれど、考えないように考えないようにしている。
この、昆布フィーバーが怖い。

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